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国別で見るスーツの違いって???【アメリカ編】

『スーツの着こなし』

国別で見るスーツの違いって???【アメリカ編】

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前回までにイギリス、イタリアのスーツの特徴を説明してきました。

今回は、3大モデルの最後の一つ、アメリカのスーツについて解説します。

アメリカのスーツもイタリア同様、イギリスがルーツとなっていますが、

アメリカという国は人種のるつぼとも言われるほど多国籍、他民族国家です。

その上、人口も多く低コストで大量生産が必要だった背景から、イギリスのような

注文服(いわゆるオーダーメイド)ではなく既成服が主流となりました。

 

生地/Cloth

スーツの生地といえばイギリスの重厚な生地、イタリアの柔らかく滑らかな生地が有名で、

アメリカの生地はあまりありません。代表的なアメリカ産の生地といえばデニムでしょうか。

昨今デニムのスーツ等が出たりしておりますがデニムはいわゆる作業服です。

ですので、アメリカのブランドのオーダースーツも海外の生地を輸入して作っています。

生地に関しても多国籍です。生地に関してはアメリカは特に特徴はありません。

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ジャケット/Jacket

既成服をなるべく多くの人が体型を気にせず着ることができるようにと考えた為、

肩パッドは薄く(ソフコンまたはアンコン)、丸みのあるライン、シルエットはウエストを

絞らないボックスシルエットが特徴的です。このウエストを絞らないスーツは

サックスーツと言い、ブルックスブラザーズがアメリカのスタンダードとして

定着させました。

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イギリスはサイドベンツで長めの着丈が主流でしたが、アメリカではセンターベントで

短めの着丈が主流となっています。また、フックベントというディテールもアイビー風の

ジャケットにはよく見られます。(アイビーについてはまた後日解説します。)

ブルックスブラザーズは1900年頃に三つボタン段返りというジャケットの第一ボタンが

ラペル裏に隠れた仕様を初めて製品化し、アメリカ式スーツの定番にしたとも

言われています。

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量産化のアメリカなら2つボタンの方が手間がかからないと思われると思いますが、

3つボタンであることが、スーツの本場イギリスのデザインを踏襲したスーツを着ている

という一種のステータスとして考えられていたようです。また段返りというデザインが

アメリカ独特のデザインであることが唯一性を示すプライドなのかもしれません。

この3つボタン段返りはのちにイタリアへ伝わりますが、サイドベンツがイタリア式、

センターベントがアメリカ式という認識で良いと思います。イギリスのクラシックな

スーツでは3つボタン段返りはほとんど見かけません。

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ジャケットのディテールでアメリカ独特なのが、AMFステッチです。
AMFとは、アメリカのアメリカンマシンファウンドリー社が開発したスーツのラペルに

ステッチを入れられるミシンを開発したメーカーの略です。

AMFステッチとは表地と裏地をステッチで固定する事で、ラペルがよれないように

する為の物です。

イギリス式のスーツはハンドステッチですが、アメリカ式のスーツはミシンステッチが

特徴的で、スーツの見た目の印象に大きく影響します。やはりアメリカ式の

ミシンステッチは大量生産の既製服のためミシンステッチなのでしょうか。

ブレザーなどのスポーティなジャケットにも採用されています。

 

イギリス式ハンドステッチ

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アメリカ式ミシンステッチ

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パンツ/Pants

ジャケット同様ゆったり目なのが特徴。パイプドステムと言われるストレートシルエット

です。裾幅は22センチ前後が多いです。

タックはアウトタックのワンタックかツータック。

(1960年代に流行するアイビースタイルのパンツはパイプドステムのノータックが

主流となります)

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いかがでしたでしょうか?

アメリカのスーツは動きやすい事を重要 視している為、スポーティなテイストといえます。

アメリカ式のスーツにはスポーティなシャツやシューズを合わせる事が多いです。

こちらはまた別の機会に解説します。